長寿の祝いは、「賀」「賀寿」「賀の祝い」
などとよばれ、もともと中国の風習にならったものです。
むかしは平均寿命が短く、たとえば70才を古稀といいますが、これはそれまで生きるひとは"古来稀なり"と唐代の詩人杜甫のことばからとられたといわれます。
日本では奈良時代、天平12年10月、僧良弁が聖武天皇の40才の満賀のために購を設けて祝ったのがはじまりです。
平安時代は宮中、貴族たちのあいだで盛んになり、室町時代の末期になって現代のような形になって、それぞれ祝われるようになったといわれます。
江戸時代には、還暦、喜寿、米寿が主に祝いの対象になり、生活にゆとりができるようになると、上層階級だけでなく、一般庶民のあいだでも盛んになって、節句などのおめでたい日を選んで行なわれるようになりました。
家族や親せき、本人の親しい友人などを家庭に招いて、内祝い的な会食や、1泊2日ていどの温泉旅行のクーポン券を用意しておくのも、そのひとつの例でしょう。
お祝いや贈りものをするときは、本人の誕生日の前後か、または、9月15日の敬老の日などに贈ると、一層意義があります。
暦の干支が60年の周期であるところから61年目を迎えるのを、暦が元に還るというわけで還暦といいます。
昔は赤ん坊に還るといわれ、赤い色のチャンチャンコや頭巾などを被ったものですが、現代では60代は働き盛り。
うかつにお祝いなど持って行ったら、相手次第では怒鳴られかねません。
金石茂和(和心マナーアドバイザー)